「良いお友達」の影にある選民意識

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Twitterを見ていたら

 

「良いお友達を作ってほしいから子供を私立小へ」

「公立に行く?と聞いたら子供が"悪いお友達がいる小学校には行きたくない"と泣き出してしまった」

 

というママがいて、「良いお友達」ってなんだろ??と考えていた。

 

話の流れからして、「私立の一貫校=長く付き合える=良いお友達」という意味ではなさそうだった。

 

公立と私立での経験

私自身は

  • 公立小学校3つ
  • 中学受験を経て私立の中高一貫校
  • 私立大

に通った。

 

割と私立志向の強い母だったので、小学校受験も考えていたらしいが、転勤族の家庭だったのであきらめたらしい。

 

そして父の転勤の関係で超マンモス校の公立小学校に通っていたころ、私は万引き小学生グループと仲良くなった。※私は万引きしていない。

 

小学校2年生くらいだったのでうっすらとした記憶だけど、「親友」と思っていた友達は「お父さんとお母さんが殴り合いの喧嘩をした」とか「(性器を)舐め合っていた」といったことを話していたので、色々な思い出から勘案するに家庭環境が良くなかったのだなと今となっては分かる。

 

そんな話を私が母にしたのかは覚えていないけれど、私の母は「そんな子たちとは離れて"良いお友達"を作りなさい」「ケイはいい子だから断れなくてすぐそういう子と仲良くなっちゃうのよね。困るわ」と言っていた。

 

"親も気に入りそうな良い子"がクラスにいて、暑い夏の日のプールの中で、ドキドキしながら「友達になって」と言ったときのことを、もう25年くらい経つのにいまだに覚えている。目を開けていられないほど眩しかった夏の光も。軽い違和感の残る言葉だったといまだに思う。

 

その後転校してしまって、もう会うこともないのだけれど、いまだに万引きグループの方の友達のことをたまに思い出す。何してるのかな、と。"親も気に入りそうな"良いお友達の方は、名前とそのプールの中の一コマしか思い出せない。良い子だったのは間違いない。

 

公立vs私立は成り立つのか

普通の人よりたくさんの小学校に通って思ったのは、「どこに行っても同じような役割の子がいる」ということ。

 

いわゆる良い学区でも悪い学区でも、虐待とか非行とかいじめはある。真面目くんもおせっかいちゃんもスポーツ万能くんもおちゃらけくんもいる。

 

そして、私立も同じく。

 

私立中でもいじめがあったし、万引きなどの問題行動を起こす子はいた。名家生まれの同級生は超有名なAV女優になった。

 

確かに、私立にはネグレクトで服も買ってもらえないような子はいないかもしれない。でも、精神的ネグレクトや教育虐待とは無関係と言えない。

 

私立にも問題児がいる可能性がある以上、「私立/公立」とか「金持ち/普通/貧乏」と「良いお友達」「悪いお友達」は関係がない気がする。

 

 

勿論かなり極端な例だけど、幼稚舎(小学校)から慶応の方でこんな人もいましたよね。。。

news.yahoo.co.jp

 

考えた結果、「私立=良いお友達」という思考の人の中では「良いお友達=良いスタートラインに立たされている子供」なのではないかと思った。言い換えると「良い社会的地位の家庭の子供」か。もしくは、受験というふるいをくぐり抜けた「優秀なお友達」なのかもしれない。

 

ただ、優秀な子しかいない=問題行動を起こす子がいない、ではない。

 

「私立」vs「公立」で成立する違い

「私立」vs「公立」で成立しうる違いは

 

  • 家庭の財力が一定以上vs財力バラバラ
  • 学力が均一vs学力バラバラ
  • 親の志向が均一vs親の志向がバラバラ
  • 同じ教育方針に惹かれて入学させるvs学区だから入学させる

 

ということくらいではないだろうか。つまり、私立には受験というふるいにかけられたゆえの均一性があり、公立にはそれがない。※特に小学校の場合。

 

「多様な価値観を見せたいから公立」というのを批判する人もいるけれど、私立が(親の志向を含めて)ある程度均一な環境であることを考えれば、親の志向や教育方針や子供の個性といった面での公立の多様性というのは成立すると思う。

 

最初の「良いお友達を作ってほしいから子供を私立小へ」も、「我が家と同じような志向や家庭環境のお友達を作ってほしいから子供を私立小へ」だったら合理的だったと思う。

 

ただ・・・

 

特定のグループに所属する人を「良い」「悪い」で表現することには無意識の差別・選別意識のあやうさを感じてしまう。

 

「我が家と似た家庭環境」でない家庭の子供は悪いのだろうか・・・?

 

 冒頭の親子は私立小に落ちた場合、「悪いお友達」のいる公立小でどんな風に過ごしていくのだろう。

 

「どこに行っても良いお友達も悪いお友達もいる」とでも思っていた方がずっと期待も落胆も小さくて済むと思うのだけど。



※お受験はたまにエクストリームな方がいるので最後に念のため補足しておくと、私立を否定しているわけではないのは読んでいただければわかると思う(私も中学受験組)。私が言いたいのは「私立小=良いお友達」というほど単純な図式は成立せず「私立小=似た環境のお友達」であって、その中で好ましい友達か否かはどんな環境でも親が目を光らせておく必要があると思っている、ということ。