エルパトでカモにされてはならない
はてなの方はあまりブランド物好きな人がいなさそうなので、こっそりつぶやく。
「エルパト」とは
通称・エルパトという言葉をご存知だろうか。
だいたいバーキンかケリーという高級バッグを求めて、エルメス数店舗を"パトロール"すること。
※さらに疎い方のために補足すると、バーキンとかケリーというのは一番小さく、一番お手頃価格のものでも1個100万円以上という超高級バッグ。クロコだと500万円~らしい。
※ジェーン・バーキンやモナコのグレース・ケリーの名を冠して伝説的なバッグに。
バーキンやケリーを手に入れるには
- エルパトを繰り返してお目当てのバッグをゲットする。※かなりの運が必要
- 毎回同じ店舗で買い物することで「担当さん」がつき、その担当さんからお目当てのバッグを紹介してもらう。
という2通りの道がある模様。
苦難を乗り越えてお目当てのバッグに出会った場合、アメブロでは無数の祝福のコメントが飛び交う、知られざる世界。。。
しかも信じられないことに、あまりにも希少なので
- 希望のサイズでなかったり
- 希望の素材でなかったり
- 希望の色でなかったり
・・・という状況でも「次に出会えるのはいつか分からない」ということで即決が求められる。
もちろん断る余地はあるけれど、悩む余地はほとんどないみたいだ。
カモられる客
どういうわけだかこういったエルパト(正確にはバーキン・ケリーへの道)の深淵なる世界を垣間見てしまい、いくつかブログ読んだのだけど
「担当さん」がいるという方が、バーキンが欲しいがために担当さんに勧められるがままに
「欲しくもないのに頑張って10万円のティッシュケース買っちゃった」というのを読んで衝撃を受けた。
言い方は悪いけどそれ、カモにされてまっせ・・・。
引っ張られないために
なんでも、バーキンとケリーは購入希望者があまりにも多いので、年に2個までという「枠」があるらしい。
先程の10万円のティッシュケースの話に戻すと、「引っ張れば引っ張るほど買ってくれる」と認定されたらご希望のものは年末まで出てこないのでは・・・。
ショッピング中にはあまり考えたくないことかもしれないけれども、アパレル店で働く店員さんにはノルマと言うか売上目標がある。
※ノルマというほど厳しいものなのか、あくまで目標なのかはお店によって違うと思うけど、数値化されている。
一瞬、宝飾店で働いたことがあるけど、旗艦店であればあるほど、各自が課せられる売上目標は大きくなっていく。
本当はつけっぱなしにするなら地金のみの結婚指輪にした方が良い(※)だけど、「ダイヤ入りだと売上上がるんで毎回ダイヤ入りを推してます」という人もいる。
※結婚指輪は24時間365日、酷使する指の上で使うものなので、完全なつけっぱなしではダイヤを留めるツメが摩耗してきてしまう。
本当にエルメスのティッシュケースが欲しくて店に行ったわけじゃないのに、お付き合いで「買ってくれる」と思われるとなかなか面倒なことにならないかな・・・って店員側視点で思ってしまった。
(もちろん本人がハッピーなら何を買ってもいいけれど、欲しくないのに買っちゃったって書いてたからね。。。)
ちなみに、バーキンの中古価格は状態が良ければ200万円~に跳ね上がる。
元の持ち主がバーキンを手に入れるまでにかかった労力やお金を考えればこれぐらいは当然のことらしい。
最上級の皮を使って、一人の熟練した職人が20時間以上かけて作るという特別なバッグ。
もちろん量産出来ず、希少であることには間違いないのだけれど
「欲しくても、お金を積んでも、カンタンに買えるわけじゃない」
というマーケティングによってますます価値を高めているのだろうな、と考えた。それは、戦略でもあり、ブランドの矜恃。
ファンの方からすると「部外者がこんなことを書いて!!!」とお怒りかもしれないけど
間違ってもエルパトをバカにしているわけではなく、むしろそこまでの情熱を掻き立てるバッグってどんなバッグなんだろう・・・と気になって、エルパトブログを読み漁ってしまったのだから。
ただ、経験上、全ての店員がお客のことだけを考えている訳ではない。
いくら芸術的に美しいバッグでも、そのバッグ欲しさに、店員の都合で欲しくないまで買わされるのは元高級品店員として悲しい。
塩対応の担当さんに頭を下げる?客でも店員でも、無礼なのは許されない。ましてや店員が無礼でも客が我慢するなんて信じられない。。。と思ってしまう。
本当に欲しいものだけを買って、いつかは欲しいバッグに出会えることを祈っている。